ELSS -Emergency Life Support System-

緊急生命維持装置

近年、救急救命医療の重要性が世界的に高まっており、急性心筋梗塞など生命に直接関係する疾患に対して、緊急的に救命する簡便なシステムの開発が切望されております。

我が国においては、毎年10万人弱の心肺停止患者が救急車で救急外来に搬送され、そのうち救命できる患者は3,700人(3.9%)程度です。
米国においては、毎年150万人の人が急性心筋梗塞を発症し、60万人が亡くなっておりますが、そのうち30万人は、発症直後、すなわち病院に到着する以前もしくは病院到着後1時間以内に亡くなっております。
この発症直後に亡くなる人を救うためには、心肺機能が停止しても一定時間心肺機能を維持できる緊急生命維持装置が必要です。

しかしながら、現在の心肺補助システムは、装置自体が大きく、また準備や操作手順が頓雑なため簡便に使用できる状況にはありません。

今後の展望

東京大学では、2004年に、人工心臓で培った技術を応用して、心肺補助システムを一体化し、システムの著しい小型化をはかり、簡便な操作で使用できる緊急生命維持装置の開発を開始いたしました。

人工心臓の技術を応用すれば、救急救命外来で簡便に使用できることはもとより、救急車や救急ヘリコプターに搭載可能で病院外での緊急使用も可能な、バッテリー駆動によるハンディタイプの緊急生命維持装置が実現できます。

具体的なシステムは、新しい機器組込専用血液ポンプと新しい低圧損人工肺を開発して、それらを一体化し、バッテリーも含めて全体を手で持ち運べる形態にします。
現在までに、既に一次試作は完成し、よい結果が得られております。

現在、実用化を目指して、精力的に開発を進めております。

本プロジェクトの趣旨をお汲み取り頂き、ご支援ご協力をいただけますことをお願い申し上げます。